欲しいドメインが見つかった。調べてみると、どうやら売りに出されているようだ。或いは、売りに出されているわけではないが、譲ってもらえないか問い合わせをしてみた。しかしながら、登録者が要求している金額が高すぎて、とてもじゃないが手が出ない。または、出せない金額ではないが、どう考えても法外な要求なので、絶対にそんな額を払いたくない。ボッタクリは許せない。

これは日本語ドメインに限ったことではなく、インターネットのドメイン名を買い取ろうと思ったことのある大多数の方が経験していることだと思います。私も時々「お名前.com」のドメイン売買サービスなど、ドメイン売買サイトやオークションサイトを閲覧していますが、ほとんどの価格設定が非現実的で高すぎると思います。ただ、私の場合、もう10年以上も日本語ドメインを中心にドメイン名の売買を繰り返しているので、初めてドメイン名の購入を考えている人とは随分と価格に対する考え方が違っていると思います。また、これまで非常に多くの日本語ドメイン登録者と話をしてきて、自分を含めた日本語ドメイン登録者が何を考えているのか、だいぶ分かるようになってきました。今回は、なんで日本語ドメイン名の価格が高めに設定されていることが多いのか、お話してみようと思います。

ご紹介する理由は5つです。ありがちな理由から順にまとめてみました。

(1)登録者が夢をみているから。

なんと言ってもこれが最大の理由です。日本語ドメイン売買の経験が無い登録者、浅い登録者のほとんどは、幾らに価格を設定すれば売れる可能性があるのか、さっぱり見当がつきません。そして、海外でドメイン名が何億円もの価格で売れたという記事をどこかで読んで、あわよくば自分も、と夢をみるのです。傍から見ていると、それらのドメイン名が希望価格で売れる可能性は宝くじに当たる可能性よりも低いのではないかと思えるのですが、夢を見るのは各人の自由。結局ドメインが売れずに損をするのも各人の自由です。私はそれらの夢見る登録者たちの価格設定を見ながら、自分も同じ過ちを犯しているのではないかと時々自分自身の価格設定を振り返ることにしています。そして、振り返ると、やっぱりこの価格設定は高すぎるなと思うドメイン名が複数見つかります。だって、見たいじゃないですか、夢。

(2)日本語ドメインを大量にかかえているので、一つ一つのドメイン名の価格設定を高くしないとやってやれない。

日本語ドメインを含むドメイン名に本格的に投資しようと思った人間の中には、私もそうですが、一人で数十から数千のドメイン名を登録している人が少なからずいます。彼らは、毎年数万円から数百万円の料金を払ってこれらのドメイン名を維持しているわけです。すると、潤沢な広告収入でもない限り、それらの登録者は一つひとつのドメイン名を数千円~数万円の価格で売却しようと思っても、せいぜい売れるドメインの数は知れているので、投資で儲けを出すどころか、損失が確実になってしまいます。そこで何とか一つか2つでも良いのでドメインを高い値段で売って、投資金額を回収したい、あわよくば儲けを出したいと考えて高めの価格設定にするわけです。ほぼ全てのドメイン投資家がこのような思考をしています。この方法でドメイン売却に成功した投資家は生き残り、残りは損失を積み重ねていきます。実際のところ、大部分が後者で、彼らのほとんどが損失に耐えきれなくなった時点で多く或いは全ての保有ドメイン名を失効させます。別の記事でもっと詳しく書きますが、ドメインで一儲けしようと思って実際にそれを成し遂げる人は極めて稀です。日本語ドメインでもそれは同じです。そして失敗の最大の理由は、実際に自分が投資しているドメインにどれだけの需要があるのか推し量ることができずに、単なる希望的観測に基づいて投資をしてしまったということです。特に、日本語ドメインに対する需要なんて、株式市場などと違って参考にできる公開相場情報が存在するわけではないので、経験と人脈を通じて知ることしかできず、最初は勘でやるしかないわけですが、勘は大抵外れます。それも悪い方に。私も最初の頃は損ばかりしていました。

(3)そもそも登録者がドメイン入手にかなりの出費をしている。

これはプレミアムドメインにのみ当てはまることですが、誰がどう見ても素晴らしいと思えるようなドメイン名は大抵の場合、歴史的登録者が変わっています。日本語ドメインの場合もそうです。良い空きドメイン名がないか探していたら運良く素晴らしいドメインが見つかったのでそれを登録したという経緯でプレミアムドメインを所有している登録者は極めて稀です。もしこれを読んでいる読者の方で、そんなことはない、私はプレミアムドメインを普通に登録できたと言う方がいたら、それは10年以上前の話か、私が考えるプレミアムドメインではありません。だって、本当に多くの人が望むようなドメイン名は執行前あるいは失効後ゼロコンマ何秒の間に再登録されオークションに回ってますから。日本語ドメインでもそうです。そしてこれらのドメイン名をオークションで競り勝って落札しようとしたら数万円から時には百万円を超える入札をせざるえないわけです。
他にもプレミアム日本語ドメインの多くが、ドメイン登録者間の売買によって手を変えてきました。取引価格はケースバイケースですが、数万円から数百万円、なかには一つ一千万円程の価格で売却された日本語ドメイン名も私が知っているだけで数件あります。(最近はそこまで高額の取引はほとんど聞かなくなりましたが。)まぁ、圧倒的に安め(数万円から数十万円)の金額で取引されるケースがほとんどです。
とまぁ、そんなわけで、プレミアムドメインに関して言う限り、日本語ドメインでも多くの場合、登録者がそれらを入手するためにかなりの出費をしているわけで、更にリサーチや交渉に費やした時間を考えると、やっぱりそれなりの価格設定になるのはやむを得ないわけです。最近はアルファベットのドメインでも日本語ドメインでも取引価格が下がってきていると思うので、中には損切り覚悟の価格設定をしているケースもそれなりに見受けられます。日本語ドメインの需要は限定的ですし、ボロ儲けしているような人は私が知る限り一人もいません。何とかボロ儲けできないかと未だに夢見がちな価格設定をしている登録者ならたくさんいますが。えっ、私?夢なら時々見てますよ。現実は厳しいですが(汗)。

(4)だってこの価格でも時々売れるんだもの。

日本語ドメインに限らずドメイン名というのは、具体的にどのドメインにいくらの価値があるのか、客観的に正確に知ることは不可能です。ただ、過去に似たようなドメインを購入・売却した経験があればあるほど、どのぐらいの価格設定にしておけば売れる可能性がどれくらいあるのか想像することができます。所詮想像に過ぎませんが、一応過去の経験に基づいているので、そのような経験がない場合と比べて、ある程度現実的な価格設定ができるわけです。そういう価格設定を見ると、あぁ、この人現実的だなと思いますし、自分自身も過去の経験に基づいて日本語ドメインの価格設定をしています。で、現実的な価格設定をすると儲かるかというと、あまり儲からないです。ただ、あまり損はせずに、年によってはちょっと儲かる程度の成果にはなります。

(5)売れなくても良い

自分で使っている日本語ドメインやこれから使うかもしれないドメインは売る必要がありません。だから売れても売れなくても良い価格でしか出品しません。また、これまで何度もオファーを受けてきたようなドメインは、今すぐ売るよりも様子見をした方が合理的と考えられる場合が少なくなく、すぐに売れそうな価格設定にはしません。この種の日本語ドメインを持っている人で、一千万円を超えるオファーを断った人物を私は二人知っています。今となってはその人達はオファーを断ったことを後悔しているかもしれませんが・・・。